Huney

応用情報(AP) / システム構成要素

ストレージ関連技術とは?RAID 0〜6・RAID 10・NAS・SANを基礎から理解しよう

RAID 0〜6の仕組みと違い、RAID 01・RAID 10などの組み合わせ、NASとSANの接続方式を初心者向けに解説。ディスク容量や耐障害性の計算も学べます。

読了時間:約27分
  • #ストレージ
  • #RAID
  • #RAID 0
  • #RAID 1
  • #RAID 5
  • #RAID 6
  • #RAID 10
  • #NAS
  • #SAN
  • #応用情報技術者試験

はじめに

コンピュータシステムでは、さまざまなデータを保存しています。

例えば、

  • 顧客情報
  • 売上データ
  • 業務システムのデータベース
  • ファイルサーバの共有ファイル
  • 仮想マシンのデータ

などです。

これらのデータを保存する装置を**ストレージ(Storage)**と呼びます。

ストレージには、HDDやSSDなどがあります。

しかし、重要な業務システムでは、1台のディスクにすべてのデータを保存するだけでは十分とはいえません。

例えば、ディスクが故障した場合、データが読み出せなくなる可能性があります。

また、大量のデータを処理するシステムでは、ストレージの読み書き性能も重要です。

そこで利用されるのが、RAIDなどの技術です。

さらに、ストレージをネットワーク経由で利用する方法として、NASやSANがあります。

今回は、次の内容を学びます。

ストレージ関連技術
│
├─ RAID
│   ├─ RAID 0
│   ├─ RAID 1
│   ├─ RAID 2
│   ├─ RAID 3
│   ├─ RAID 4
│   ├─ RAID 5
│   ├─ RAID 6
│   │
│   └─ RAIDの組み合わせ
│       ├─ RAID 01
│       ├─ RAID 10
│       ├─ RAID 50
│       └─ RAID 60
│
└─ ストレージの接続形態
    ├─ NAS
    └─ SAN

それでは、RAIDの基本から理解していきましょう。


1. RAIDとは

1-1. RAIDの基本

**RAID(Redundant Array of Independent Disks)**とは、

複数のディスクを組み合わせて、性能や耐障害性を向上させる技術です。

RAIDには、データをどのように分割・複製・保護するかによって、さまざまな方式があります。

例えば、4台のディスクを組み合わせて利用する場合を考えてみましょう。

       RAID構成

    ┌────────────┐
    │ RAID制御   │
    └──────┬─────┘
           │
  ┌────────┼────────┐
  │        │        │
  ▼        ▼        ▼
ディスク1 ディスク2 ディスク3

RAIDを利用すると、複数のディスクを論理的にまとめて扱えます。

ただし、RAIDの種類によって目的や特徴は異なります。


1-2. RAIDで重要な3つの仕組み

RAIDを理解するうえで重要なのが、次の3つです。

① ストライピング

**ストライピング(Striping)**とは、データを複数のディスクに分割して保存することです。

例えば、データA・B・C・Dを2台のディスクに保存する場合です。

ディスク1    ディスク2
────────    ────────
   A           B
   C           D

複数のディスクで並行して読み書きできるため、性能向上が期待できます。

ただし、ストライピングだけではデータを保護できません。

② ミラーリング

**ミラーリング(Mirroring)**とは、同じデータを複数のディスクに保存することです。

ディスク1    ディスク2
────────    ────────
   A           A
   B           B
   C           C

片方のディスクが故障しても、もう片方からデータを読み出せます。

③ パリティ

**パリティ(Parity)**とは、ディスク障害時に失われたデータを復元するための冗長情報です。

例えば、データA・BからパリティPを計算して保存します。

データA
データB
   │
   ▼
パリティP

一般的なRAIDのパリティ計算では、排他的論理和(XOR)などを利用します。

例えば、

A = 1
B = 0

P = A XOR B
  = 1

という場合、Aが失われても、BとPからAを復元できます。

A = B XOR P
  = 0 XOR 1
  = 1

RAID 5やRAID 6では、このような冗長情報を利用してデータを保護します。


2. RAID 0

2-1. RAID 0とは

RAID 0は、ストライピングによってデータを複数のディスクに分散して保存する方式です。

主な目的は、読み書き性能の向上です。

          RAID 0

ディスク1    ディスク2
────────    ────────
   A           B
   C           D
   E           F

複数のディスクへデータを分散するため、並列に読み書きできます。


2-2. RAID 0の特徴

メリット

  • 複数ディスクを利用して性能を高められる
  • ディスク容量を効率よく利用できる
  • 冗長情報を保存する必要がない

デメリット

  • ディスク故障に対する冗長性がない
  • 1台でも故障すると、通常はRAID全体のデータを利用できなくなる

ここは非常に重要です。

RAID 0には耐障害性がありません。

RAIDという名前が付いていても、RAID 0は冗長化を行いません。


2-3. RAID 0の容量計算

1TBのディスクを4台使用する場合です。

1TB × 4台 = 4TB

利用可能容量は、単純化すると4TBです。

一般的に、同じ容量のディスクを使用する場合、

利用可能容量 = ディスク容量 × ディスク台数

となります。

※実際の利用可能容量は、管理領域などによって多少異なります。


3. RAID 1

3-1. RAID 1とは

RAID 1は、ミラーリングによって同じデータを複数のディスクに保存する方式です。

主な目的は、耐障害性の向上です。

          RAID 1

ディスク1    ディスク2
────────    ────────
   A           A
   B           B
   C           C

同じデータを2台に保存する構成では、片方が故障しても、もう片方からデータを読み出せます。


3-2. RAID 1の特徴

メリット

  • ディスク障害に強い
  • 構成が比較的シンプル
  • 複数ディスクからの読み出しで性能が向上する場合がある

デメリット

  • 同じデータを複製するため、容量効率が低い
  • 書き込み時には複数ディスクへの反映が必要

3-3. RAID 1の容量計算

1TBのディスクを2台使用する場合です。

ディスク1:1TB
ディスク2:1TB

利用可能容量:1TB

2台に同じデータを保存するため、利用可能容量は1TBです。

2台ミラーの場合、利用可能容量は物理容量合計の約半分になります。


4. RAID 2

4-1. RAID 2とは

RAID 2は、データをビット単位で分散し、誤り訂正符号を利用してデータを保護する方式です。

代表的な誤り訂正符号として、**ハミング符号(Hamming Code)**があります。


4-2. RAID 2の仕組み

RAID 2では、データを複数のディスクへ分散し、誤り訂正用の情報を別のディスクに保存します。

            RAID 2

データ用ディスク     訂正符号用ディスク

   D1  D2  D3            E1  E2
   │   │   │             │   │
   ▼   ▼   ▼             ▼   ▼
  データを分散       誤り訂正符号

ハミング符号などを利用して、データの誤りを検出・訂正します。


4-3. RAID 2の特徴

メリット

  • 誤り訂正符号を利用してデータを保護できる

デメリット

  • 構成が複雑
  • 誤り訂正用のディスクが必要
  • 現在ではほとんど利用されない

現在のHDDやSSDには内部で誤り訂正を行う仕組みがあるため、RAID 2が実際のシステムで利用されることは非常に少なくなっています。

🍯 試験対策

RAID 2 = ハミング符号による誤り訂正

と覚えましょう。


5. RAID 3

5-1. RAID 3とは

RAID 3は、データをバイト単位などの細かい単位で分散し、専用のパリティディスクを利用する方式です。

            RAID 3

ディスク1  ディスク2  ディスク3  パリティ
────────  ────────  ────────  ────────
   A1        A2        A3        P1
   B1        B2        B3        P2
   C1        C2        C3        P3

データ用ディスクに情報を分散し、専用のパリティディスクへ冗長情報を保存します。


5-2. RAID 3の特徴

メリット

  • 1台のディスク障害に対応できる
  • 大きな連続データの読み書きに適した構成

デメリット

  • 小さな読み書きでも複数のデータディスクが動作する
  • 専用パリティディスクを利用する
  • 現在ではあまり利用されない

RAID 3では、データディスクが連携して動作するため、独立した小さなI/O要求を多数処理する用途には向きません。


6. RAID 4

6-1. RAID 4とは

RAID 4は、データをブロック単位で分散し、専用のパリティディスクを利用する方式です。

            RAID 4

ディスク1  ディスク2  ディスク3  パリティ
────────  ────────  ────────  ────────
   A         B         C         P1
   D         E         F         P2
   G         H         I         P3

RAID 3との大きな違いは、データを分割する単位です。

RAID データの分散単位
RAID 3 バイト単位など
RAID 4 ブロック単位

6-2. RAID 4の特徴

メリット

  • 1台のディスク障害に対応できる
  • 異なるデータブロックの読み出しを並行して実行しやすい

デメリット

  • パリティディスクに書き込みが集中しやすい
  • パリティディスクが性能上のボトルネックになる場合がある

この問題を改善する考え方が、次に紹介するRAID 5です。


7. RAID 5

7-1. RAID 5とは

RAID 5は、データとパリティを複数のディスクへ分散して保存する方式です。

RAID 4では専用のパリティディスクを利用していました。

一方、RAID 5では、パリティを特定のディスクに固定せず分散して保存します。

              RAID 5

ディスク1  ディスク2  ディスク3  ディスク4
────────  ────────  ────────  ────────
   A         B         C         P1
   D         E         P2        F
   G         P3        H         I
   P4        J         K         L

P1〜P4がパリティです。

パリティを複数ディスクに分散することで、専用パリティディスクへの負荷集中を避けます。


7-2. RAID 5の特徴

メリット

  • 1台のディスク障害に対応できる
  • RAID 1より容量効率が高い場合が多い
  • パリティを分散して保存する

デメリット

  • 書き込み時にパリティの更新が必要
  • 障害発生後のデータ再構築に時間がかかる場合がある
  • 再構築中に別のディスクが故障すると、データを失う可能性がある

特に重要なのは、RAID 5が耐えられるディスク障害は1台までという点です。


7-3. RAID 5の容量計算

RAID 5では、同容量のディスクを使用する場合、1台分に相当する容量がパリティに使われます。

例えば、1TBのディスクを4台使用すると、

ディスク容量:1TB
ディスク台数:4台

利用可能容量
= (4 - 1) × 1TB
= 3TB

となります。

一般式は次のとおりです。

RAID 5の利用可能容量 = (N − 1) × C

  • N:ディスク台数
  • C:ディスク1台の容量

※同容量ディスクを使用した場合の概算です。


8. RAID 6

8-1. RAID 6とは

RAID 6は、2種類の独立したパリティ情報を分散して保存する方式です。

RAID 5では1台のディスク障害に対応できました。

一方、RAID 6では、同時に2台のディスクが故障してもデータを復元できるように設計されています。

              RAID 6

ディスク1  ディスク2  ディスク3  ディスク4
────────  ────────  ────────  ────────
   A         B         P1        Q1
   C         P2        Q2        D
   P3        Q3        E         F
   Q4        G         H         P4

PとQは、異なる方法で計算される冗長情報を表しています。

※図は仕組みを理解するための模式図です。実際のデータ・パリティ配置は実装によって異なります。


8-2. RAID 6の特徴

メリット

  • 2台のディスク障害に対応できる
  • RAID 5より高い耐障害性を確保できる
  • 大容量ストレージで利用されることがある

デメリット

  • 2台分に相当する容量が冗長情報に使われる
  • パリティ計算が複雑
  • 書き込み性能に影響する場合がある

8-3. RAID 6の容量計算

1TBのディスクを5台使用する場合です。

ディスク容量:1TB
ディスク台数:5台

利用可能容量
= (5 - 2) × 1TB
= 3TB

一般式は次のとおりです。

RAID 6の利用可能容量 = (N − 2) × C

RAID 5との違いを覚えましょう。

RAID 5
→ 1台分を冗長情報に使用

RAID 6
→ 2台分を冗長情報に使用

9. RAID 0〜6の比較

ここまでの内容を一覧表にまとめます。

RAID 主な仕組み 最小ディスク数 耐えられるディスク障害
RAID 0 ストライピング 2台 0台
RAID 1 ミラーリング 2台 2台ミラーでは1台
RAID 2 ビット単位分散+誤り訂正符号 実装による 符号設計による
RAID 3 細粒度ストライピング+専用パリティ 3台 1台
RAID 4 ブロック単位ストライピング+専用パリティ 3台 1台
RAID 5 ブロック単位ストライピング+分散パリティ 3台 1台
RAID 6 ブロック単位ストライピング+二重パリティ 4台 2台

※RAID 2の必要ディスク数や訂正能力は、データディスク数・符号方式によって異なります。

🍯 RAIDの覚え方

RAID 0
→ 分散するだけ

RAID 1
→ 同じデータを複製

RAID 2
→ ハミング符号

RAID 3
→ 細かく分散+専用パリティ

RAID 4
→ ブロック分散+専用パリティ

RAID 5
→ ブロック分散+パリティ分散

RAID 6
→ RAID 5を二重パリティに強化

10. RAIDの組み合わせ

RAIDは、複数の方式を組み合わせることもできます。

このような構成を**ネストRAID(Nested RAID)**と呼びます。

代表的なものとして、

  • RAID 01
  • RAID 10
  • RAID 50
  • RAID 60

があります。


11. RAID 01

11-1. RAID 01とは

**RAID 01(RAID 0+1)**は、RAID 0で構成したディスク群を、RAID 1でミラーリングする方式です。

つまり、

ストライピングしたグループをミラーリングする構成です。

             RAID 01
                │
          ミラーリング
          ┌─────┴─────┐
          │           │
          ▼           ▼
      RAID 0群A   RAID 0群B
          │           │
       ┌──┴──┐     ┌──┴──┐
       ▼     ▼     ▼     ▼
      D1    D2    D3    D4

RAID 0群AとRAID 0群Bに同じデータを保存します。


11-2. RAID 01の特徴

メリット

  • ストライピングによる性能向上が期待できる
  • ミラーリングによって冗長性を確保できる

デメリット

  • 容量効率が約50%になる
  • ディスク障害の組み合わせによっては、2台の故障でデータを失う場合がある

例えば、RAID 0群Aで1台が故障すると、群A全体が利用できなくなります。

その後、RAID 0群Bでも1台が故障すると、データを失う可能性があります。


12. RAID 10

12-1. RAID 10とは

**RAID 10(RAID 1+0)**は、RAID 1で構成したミラーリングの組を、RAID 0でストライピングする方式です。

つまり、

ミラーリングしたグループにデータを分散する構成です。

             RAID 10
                │
          ストライピング
          ┌─────┴─────┐
          │           │
          ▼           ▼
      RAID 1群A   RAID 1群B
          │           │
       ┌──┴──┐     ┌──┴──┐
       ▼     ▼     ▼     ▼
      D1    D2    D3    D4

RAID 01と似ていますが、組み合わせる順序が異なります。


12-2. RAID 10の特徴

メリット

  • 読み書き性能と耐障害性の両立を目指せる
  • ディスク障害からの再構築が比較的シンプル
  • 異なるミラー組であれば複数台の故障に耐えられる場合がある

デメリット

  • 容量効率が約50%
  • 多くのディスクが必要

12-3. RAID 01とRAID 10の違い

ここは応用情報技術者試験でも重要です。

比較項目 RAID 01 RAID 10
構成 RAID 0をミラーリング RAID 1をストライピング
最小ディスク数 4台 4台
容量効率 約50% 約50%
障害時の影響 RAID 0群単位で影響 ミラー組単位で影響
耐障害性 故障の組み合わせに依存 故障の組み合わせに依存
一般的な評価 RAID 10より不利になりやすい RAID 01より有利になりやすい

具体例

4台のディスクでRAID 10を構成します。

RAID 1群A
├─ ディスク1
└─ ディスク2

RAID 1群B
├─ ディスク3
└─ ディスク4

ディスク1とディスク3が故障しても、それぞれのミラー組に正常なディスクが残るため、データを利用できます。

一方、ディスク1とディスク2が故障すると、RAID 1群Aのデータを失います。

つまり、RAID 10は常に2台の故障に耐えられるわけではありません。


13. RAID 50

13-1. RAID 50とは

**RAID 50(RAID 5+0)**は、複数のRAID 5グループをRAID 0でストライピングする方式です。

             RAID 50
                │
          ストライピング
          ┌─────┴─────┐
          │           │
          ▼           ▼
      RAID 5群A   RAID 5群B
          │           │
       ┌──┼──┐     ┌──┼──┐
       ▼  ▼  ▼     ▼  ▼  ▼
      D1 D2 D3    D4 D5 D6

各RAID 5グループには、分散パリティが存在します。


13-2. RAID 50の特徴

  • RAID 5の耐障害性とストライピングを組み合わせる
  • RAID 5単体より性能向上を期待できる場合がある
  • 各RAID 5グループで1台までの故障に対応できる

例えば、2つのRAID 5グループがある場合、それぞれのグループで1台ずつ故障しても、データを維持できます。

しかし、同じグループで2台故障すると、データを失う可能性があります。


14. RAID 60

14-1. RAID 60とは

**RAID 60(RAID 6+0)**は、複数のRAID 6グループをRAID 0でストライピングする方式です。

             RAID 60
                │
          ストライピング
          ┌─────┴─────┐
          │           │
          ▼           ▼
      RAID 6群A   RAID 6群B
          │           │
     ┌────┼────┐ ┌────┼────┐
     ▼    ▼    ▼ ▼    ▼    ▼
    複数ディスク   複数ディスク

各RAID 6グループでは、2台までのディスク障害に対応できます。


14-2. RAID 60の特徴

  • RAID 6の耐障害性とストライピングを組み合わせる
  • 各RAID 6グループで2台までの故障に対応できる
  • RAID 50より高い耐障害性を確保できる場合がある
  • 冗長情報の容量やパリティ計算の負担が増える

15. RAIDの容量計算まとめ

ここまで登場したRAIDの容量を比較しましょう。

同じ容量のディスクを使用する場合、代表的な構成の概算容量は次のようになります。

RAID 利用可能容量
RAID 0 N × C
RAID 1(2台ミラー) C
RAID 5 (N − 1) × C
RAID 6 (N − 2) × C
RAID 01 N × C ÷ 2
RAID 10(2台ミラーの組) N × C ÷ 2
RAID 50 (N − G) × C
RAID 60 (N − 2G) × C
  • N:ディスクの総台数
  • C:ディスク1台の容量
  • G:RAID 5またはRAID 6のグループ数

※RAID 50・60は、各グループが必要な最小台数を満たす構成を想定しています。


15-1. 容量計算の練習問題

問題

1TBのディスクを6台使用する場合、RAID 0・RAID 5・RAID 6の利用可能容量はいくらでしょうか?

解答

RAID 0

6 × 1TB = 6TB

RAID 5

(6 − 1) × 1TB = 5TB

RAID 6

(6 − 2) × 1TB = 4TB
RAID 利用可能容量
RAID 0 6TB
RAID 5 5TB
RAID 6 4TB

このように、冗長性を高めるほど、データ保護のために使用する容量が増える場合があります。


16. RAIDとバックアップの違い

ここで、非常に重要なポイントを確認しましょう。

RAIDはバックアップの代わりにはなりません。

RAIDによってディスク障害に備えることはできます。

しかし、次のような問題には十分に対応できない場合があります。

  • 誤ってファイルを削除した
  • ランサムウェアによってデータが暗号化された
  • アプリケーションの不具合でデータが破損した
  • 火災によってストレージ全体が故障した

例えば、RAID 1では同じデータを2台に保存しています。

しかし、利用者が誤ってファイルを削除すると、その削除操作も両方のディスクへ反映されます。

RAID 1

ディスク1:ファイル削除
ディスク2:ファイル削除

そのため、重要なデータはRAIDに加えて、別の場所へのバックアップなどを組み合わせて保護します。

🍯 RAIDは「ディスク故障への備え」、バックアップは「失ったデータを過去の状態から復元するための備え」です。


17. ストレージの接続形態

ここまでは、複数のディスクをどのように組み合わせるかを学びました。

次は、ストレージをコンピュータへどのように接続するかを考えます。

代表的な接続形態には、次のようなものがあります。

  • DAS
  • NAS
  • SAN

今回の中心テーマはNASとSANですが、違いを理解するためにDASも簡単に紹介します。


18. DAS

18-1. DASとは

**DAS(Direct Attached Storage)**とは、サーバやコンピュータに直接接続するストレージです。

例えば、サーバに内蔵されたHDDや、直接接続された外部ストレージなどが該当します。

       DAS構成

    ┌──────────┐
    │ サーバ   │
    └────┬─────┘
         │
       直接接続
         │
         ▼
    ┌──────────┐
    │ストレージ│
    └──────────┘

特徴

  • 構成が比較的シンプル
  • ネットワークストレージ用の設備が不要
  • 接続先のコンピュータとの関係が強い

ただし、DASでも接続方式や製品によって構成は異なります。


19. NAS

19-1. NASとは

**NAS(Network Attached Storage)**とは、

ネットワークに接続して、複数のコンピュータからファイル単位で利用できるストレージです。

NASは、ファイル共有を提供するストレージ装置やシステムを指します。


19-2. NASの仕組み

             NAS構成

       ┌──────────────┐
       │     LAN      │
       └──────┬───────┘
              │
     ┌────────┼────────┐
     │        │        │
     ▼        ▼        ▼
   PC-A     PC-B     NAS
                     │
                     ▼
                  ファイル

NASでは、ネットワーク経由で共有フォルダなどへアクセスします。

例えば、

共有フォルダ
├─ 営業資料
├─ 会議資料
└─ 設計書

といったファイルを、複数の利用者が共有できます。


19-3. NASで利用されるプロトコル

NASでは、ファイル共有のために次のようなプロトコルが利用されます。

プロトコル 正式名称 特徴
SMB Server Message Block Windows系で広く利用されるファイル共有プロトコル
NFS Network File System UNIX・Linux系で広く利用されるファイル共有プロトコル

例えば、Windowsの共有フォルダへアクセスする場合、SMBが利用されることがあります。

Linuxでは、NFSを利用して共有ディレクトリをマウントする構成があります。


19-4. NASのメリット

① ファイル共有が簡単

複数のコンピュータから同じファイルへアクセスできます。

② データを集中管理できる

ファイルをNASへ集約することで、アクセス権限やバックアップなどを管理しやすくなります。

③ 導入しやすい製品が多い

比較的小規模な環境から利用できる製品もあります。


19-5. NASのデメリット

① ネットワークの影響を受ける

ファイルの読み書きはネットワークを介して行われます。

そのため、通信帯域や遅延の影響を受けます。

② NASの障害が複数利用者へ影響する

NASが停止すると、共有ファイルを利用できなくなる可能性があります。

③ 大量のI/O処理では設計が重要

高負荷なデータベースなどで利用する場合、ファイル共有プロトコルやストレージ性能を十分に検討する必要があります。


20. SAN

20-1. SANとは

**SAN(Storage Area Network)**とは、

サーバとストレージを接続するための専用または論理的に分離されたネットワークです。

SANでは、一般的にブロック単位でストレージへアクセスします。


20-2. SANの仕組み

              SAN構成

    ┌────────┐   ┌────────┐
    │サーバA │   │サーバB │
    └───┬────┘   └────┬───┘
        │             │
        └──────┬──────┘
               │
          SANネットワーク
               │
        ┌──────┴──────┐
        │             │
        ▼             ▼
   ストレージA    ストレージB

サーバはSAN経由でストレージの論理ボリュームなどへアクセスします。

一般的なブロックSANでは、サーバ側がファイルシステムを管理します。


20-3. SANの代表的な方式

SANには、主に次のような方式があります。

① FC-SAN

**FC-SAN(Fibre Channel SAN)**とは、Fibre Channelを利用して構築するSANです。

サーバ
   │
   ▼
FCスイッチ
   │
   ▼
ストレージ

Fibre Channelは、ストレージ接続などで利用される高速な通信技術です。

② IP-SAN

IP-SANとは、IPネットワークを利用して構築するSANです。

代表的な技術にiSCSIがあります。

**iSCSI(Internet Small Computer Systems Interface)**は、SCSIコマンドをTCP/IPネットワーク上で転送する技術です。

サーバ
   │
   ▼
IPネットワーク
   │
   ▼
iSCSI対応ストレージ

既存のEthernet技術を活用してSANを構築できます。

ただし、性能や安定性を確保するためには、ネットワーク設計が重要です。


20-4. SANのメリット

① ブロック単位でストレージを利用できる

サーバからは、SAN上のストレージをブロックデバイスとして扱えます。

② 高性能なストレージ環境を構築できる

用途に応じて高速な通信技術や高性能ストレージを組み合わせられます。

③ 複数サーバのストレージを集約できる

複数のサーバから共通のストレージ基盤を利用する構成を実現できます。

ただし、複数サーバが同じボリュームへ同時に書き込む場合には、クラスタ対応ファイルシステムなどの適切な制御が必要です。


20-5. SANのデメリット

  • 専門的な設計・運用知識が必要
  • 構成によっては導入コストが高くなる
  • ストレージネットワークの障害対策が必要

また、SANを利用するだけで必ずNASより高速になるわけではありません。

実際の性能は、ストレージ装置・ネットワーク・プロトコル・アクセス特性などによって異なります。


21. NASとSANの違い

ここは特に重要です。

NASはファイル単位、SANは一般的にブロック単位でアクセスするという違いがあります。

21-1. NASのアクセス方法

NASでは、利用者やアプリケーションがファイルを指定してアクセスします。

クライアント
    │
    │ ファイルを要求
    ▼
NAS
    │
    ▼
共有ファイル

例えば、

会議資料.pdf

というファイルを開くイメージです。


21-2. SANのアクセス方法

SANでは、サーバがストレージのブロック領域へアクセスします。

サーバ
   │
   │ ブロックI/O
   ▼
SAN
   │
   ▼
論理ボリューム

サーバはSAN上の論理ボリュームを利用して、ファイルシステムなどを構築できます。


21-3. NASとSANの比較表

比較項目 NAS SAN
正式名称 Network Attached Storage Storage Area Network
主なアクセス単位 ファイル単位 ブロック単位
代表的なプロトコル SMB、NFS Fibre Channel、iSCSI
主な利用者 PC・サーバ 主にサーバ
ファイルシステム管理 NAS側 一般的にサーバ側
主な用途 ファイル共有 DB、仮想化基盤など
構成 比較的シンプルなものも多い 専用設計が必要になる場合がある

22. RAID・NAS・SANの関係

最後に、今回学んだ技術の関係を整理しましょう。

RAID・NAS・SANは、同じ種類の技術ではありません。

技術 主な目的
RAID 複数ディスクを組み合わせて性能や耐障害性を高める
NAS ネットワーク経由でファイルを共有する
SAN サーバとストレージをネットワークで接続する

例えば、NASの内部でRAIDを構成することがあります。

           利用者
             │
             ▼
          ネットワーク
             │
             ▼
       ┌────────────┐
       │    NAS     │
       │            │
       │  RAID 5    │
       │            │
       │ D1 D2 D3 D4│
       └────────────┘

同様に、SANで接続するストレージ装置の内部でもRAIDが利用されることがあります。

サーバ
   │
   ▼
SANネットワーク
   │
   ▼
ストレージ装置
   │
   ▼
RAID構成

つまり、

RAIDはディスクの構成技術、NASとSANはストレージを利用するための接続・提供形態

と整理できます。


まとめ

この記事で覚えること

  • RAIDは、複数のディスクを組み合わせて性能や耐障害性を向上させる技術
  • ストライピングは、データを複数ディスクへ分散して保存すること
  • ミラーリングは、同じデータを複数ディスクへ保存すること
  • パリティは、障害時にデータを復元するための冗長情報
  • RAID 0は、ストライピングのみで冗長性がない
  • RAID 1は、ミラーリングによってデータを保護する
  • RAID 2は、ハミング符号などの誤り訂正符号を利用する
  • RAID 3は、細かい単位のストライピングと専用パリティを利用する
  • RAID 4は、ブロック単位のストライピングと専用パリティを利用する
  • RAID 5は、分散パリティを利用し、1台のディスク障害に対応する
  • RAID 6は、二重パリティを利用し、2台のディスク障害に対応する
  • RAID 01は、RAID 0のグループをミラーリングする
  • RAID 10は、RAID 1のグループをストライピングする
  • RAID 50は、RAID 5のグループをストライピングする
  • RAID 60は、RAID 6のグループをストライピングする
  • NASは、ネットワーク経由でファイル単位のアクセスを提供する
  • SANは、一般的にブロック単位でストレージへアクセスするためのネットワーク
  • RAIDはバックアップの代わりにはならない

🍯 はちみつメモ

RAIDは「複数のディスクをどう組み合わせるか」、NASとSANは「ストレージをどう利用するか」という違いがあるよ!

RAID 0は分散、RAID 1は複製、RAID 5は1台分のパリティ、RAID 6は2台分のパリティと覚えよう。

RAID 10は「ミラーリングしてからストライピング」。RAID 01との違いも重要!

そして、NASはファイル単位、SANはブロック単位。この違いは応用情報技術者試験でもしっかり押さえておこう!