Huney

応用情報(AP) / セキュリティ

情報セキュリティの脅威と攻撃手法とは?マルウェア・不正アクセス・サイバー攻撃をやさしく解説

情報セキュリティの基本から、マルウェア、検出方法、パスワードクラック、ポートスキャン、Web攻撃、ネットワーク攻撃、標的型攻撃、ソーシャルエンジニアリング、デジタルフォレンジックスまで、応用情報技術者試験の重要用語を体系的に解説します。

読了時間:約43分
  • #情報セキュリティ
  • #応用情報技術者試験
  • #マルウェア
  • #パスワードクラック
  • #ポートスキャン
  • #サイバー攻撃
  • #SQLインジェクション
  • #XSS
  • #DDoS
  • #デジタルフォレンジックス

はじめに

インターネットや情報システムを安全に利用するためには、セキュリティ対策が欠かせません。

しかし、セキュリティ対策を理解するためには、まずどのような脅威が存在するのかを知る必要があります。

例えば、はちみつ屋さんがオンラインショップを運営しているとします。

ある日、次のような問題が発生しました。

  • お客様の個人情報が流出した
  • 店舗のパソコンがマルウェアに感染した
  • 管理者のパスワードが盗まれた
  • 大量のアクセスによってWebサイトが停止した
  • 商品の価格が不正に変更された
  • 取引先を装ったメールによって送金してしまった

これらはすべて、情報セキュリティに関係する問題です。

今回は、情報セキュリティの基本から代表的な攻撃手法、対策までを学びましょう。

この記事では、応用情報技術者試験で混同しやすい用語を中心に、比較表を使って整理します。


1. 情報セキュリティとは

情報セキュリティとは、情報や情報システムをさまざまな脅威から守ることです。

単に情報を秘密にするだけではありません。

情報が正しく管理され、必要なときに利用できることも重要です。

1-1. 情報セキュリティの3要素

情報セキュリティの基本となる3要素をCIAと呼びます。

要素 英語 意味 はちみつ屋さんでの例
機密性 Confidentiality 許可された人だけが情報にアクセスできる 顧客情報を第三者に見せない
完全性 Integrity 情報が不正に変更されていない 商品価格を勝手に変更させない
可用性 Availability 必要なときに利用できる いつでも注文できる

機密性を守る対策

  • 暗号化
  • アクセス制御
  • 利用者認証
  • 権限管理

完全性を守る対策

  • デジタル署名
  • ハッシュ値による検証
  • 変更履歴の管理
  • アクセス制御

可用性を守る対策

  • システムの冗長化
  • バックアップ
  • 障害監視
  • DDoS対策

2. 情報セキュリティの7要素

CIAの3要素に、次の4要素を加えて考えることもあります。

要素 意味
真正性 利用者や情報が主張どおりのものである
責任追跡性 誰が何をしたのか追跡できる
否認防止 行為を後から否定することを困難にする
信頼性 意図した動作や結果を安定して得られる

例えば、注文情報を変更した担当者をログから特定できれば、責任追跡性の確保につながります。

また、電子契約でデジタル署名を利用すれば、契約の否認を困難にすることができます。


3. 脅威・脆弱性・リスクの違い

情報セキュリティでは、次の3つを区別することが重要です。

用語 意味 具体例
脅威 損害を与える可能性がある要因 攻撃者、マルウェア、災害
脆弱性 システムや運用上の弱点 未更新のソフトウェア
リスク 損害が発生する可能性とその影響 不正侵入による情報漏えい
【脅威】
  攻撃者
    │
    ▼
【脆弱性】
  更新されていないWebサーバ
    │
    ▼
【リスク】
  不正侵入・情報漏えい

脅威が存在するだけで、必ず被害が発生するわけではありません。

脆弱性や保護対策の状況によって、リスクの大きさは変化します。


4. 情報セキュリティの脅威の種類

脅威は、大きく次のように分類できます。

分類 主な例
人的脅威 内部不正、操作ミス、情報の持ち出し
技術的脅威 マルウェア、不正アクセス、通信の盗聴
物理的・環境的脅威 地震、火災、停電、機器の盗難

また、脅威は意図的なものと偶発的なものにも分類できます。

例えば、攻撃者による情報窃取は意図的な脅威です。

一方、従業員によるメールの誤送信は偶発的な脅威です。


5. マルウェアとは

5-1. マルウェアの基本

**マルウェア(Malware)**とは、悪意のある動作を行うソフトウェアの総称です。

Malicious Softwareを組み合わせた言葉です。

マルウェアにはさまざまな種類があり、感染方法や目的が異なります。


6. マルウェアの種類

6-1. コンピュータウイルス

**コンピュータウイルス(Computer Virus)**とは、他のプログラムやファイルなどに寄生し、感染を広げるマルウェアです。

感染したファイルが実行されることなどをきっかけに動作します。


6-2. ワーム

**ワーム(Worm)**とは、他のファイルへの寄生を必要とせず、自己増殖して拡散するマルウェアです。

ネットワークを通じて広がるものもあります。


6-3. トロイの木馬

**トロイの木馬(Trojan Horse)**とは、正常なソフトウェアなどを装い、利用者に実行させるマルウェアです。

便利なアプリを装って、裏で情報を盗む場合があります。


6-4. スパイウェア

**スパイウェア(Spyware)**とは、利用者の情報や操作内容などを不正に収集するソフトウェアです。

例えば、閲覧履歴や認証情報などを盗み取る場合があります。


6-5. ボット

**ボット(Bot)**とは、自動的に処理を行うプログラムです。

ボット自体は悪意のあるものとは限りません。

しかし、攻撃者に制御される悪意のあるボットは、DDoS攻撃などに利用されます。

複数の感染端末を攻撃者が遠隔操作するネットワークを**ボットネット(Botnet)**と呼びます。


6-6. ルートキット

**ルートキット(Rootkit)**とは、不正な活動や侵入の痕跡を隠蔽するためのツール群です。

例えば、不正なプロセスやファイルを通常の管理画面から見えにくくする場合があります。


6-7. ランサムウェア

**ランサムウェア(Ransomware)**とは、ファイルを暗号化したり、システムを利用できなくしたりして、金銭などを要求するマルウェアです。

データを窃取したうえで、公開を脅す攻撃もあります。


6-8. キーロガー

**キーロガー(Keylogger)**とは、キーボードの入力内容を記録する仕組みです。

正当な管理用途にも使われますが、悪用されるとパスワードなどの窃取につながります。


6-9. エクスプロイトキット

**エクスプロイトキット(Exploit Kit)**とは、ソフトウェアの脆弱性を悪用するための機能をまとめた攻撃用ツール群です。

利用者が脆弱なソフトウェアを使用していると、悪意のあるWebサイトなどを通じて攻撃される可能性があります。

ポイント

エクスプロイトキットは、必ずしもマルウェアそのものではありません。

マルウェア感染などを引き起こすための攻撃用ツール群として理解しましょう。


6-10. マクロウイルス

**マクロウイルス(Macro Virus)**とは、文書作成ソフトや表計算ソフトなどのマクロ機能を悪用するウイルスです。

例えば、マクロを含む文書を開き、マクロの実行を許可したことで不正な処理が動作する場合があります。

主な対策

  • 不審な文書のマクロを有効にしない
  • インターネットから取得したマクロを制限する
  • Officeソフトなどを更新する

6-11. 偽セキュリティ対策ソフト

**偽セキュリティ対策ソフト(Rogue Security Software)**とは、正規のセキュリティ対策ソフトを装い、利用者をだますソフトウェアです。

例えば、実際には感染していないのに、

「大量のウイルスが検出されました」

と表示し、偽の有料ソフトを購入させようとする場合があります。

このように不安をあおる手口を**スケアウェア(Scareware)**と呼ぶこともあります。


7. マルウェアの比較表

種類 主な特徴 主な被害
コンピュータウイルス 他のファイルなどに寄生 ファイル破壊、感染拡大
ワーム 自己増殖して拡散 ネットワーク障害、感染拡大
トロイの木馬 正常なソフトを装う 情報窃取、不正操作
スパイウェア 利用者情報を収集 情報漏えい
悪意のあるボット 攻撃者の指示で動作 DDoS攻撃など
ルートキット 不正活動を隠蔽 発見の遅延、侵害の継続
ランサムウェア 暗号化などで金銭要求 業務停止、情報漏えい
キーロガー キー入力を記録 パスワード窃取
エクスプロイトキット 脆弱性を悪用するツール群 不正侵入、感染
マクロウイルス マクロ機能を悪用 不正処理、感染
偽セキュリティ対策ソフト 偽の警告で利用者をだます 金銭被害、感染

試験でのポイント

特に混同しやすいのは、次の3つです。

  • ウイルス:他のファイルなどに寄生する
  • ワーム:自己増殖して拡散する
  • トロイの木馬:正常なソフトを装う

8. マルウェア対策

マルウェア対策では、複数の対策を組み合わせることが重要です。

対策 内容
セキュリティ対策ソフト マルウェアを検知・隔離する
セキュリティパッチ ソフトウェアの脆弱性を修正する
アクセス制御 不要な権限を与えない
メール対策 不審な添付ファイルやリンクを検査する
EDR 端末上の不審な活動を検知・対応する
バックアップ 感染や破壊からの復旧に備える
利用者教育 不審なファイルやメールへの注意を促す

特にランサムウェア対策では、攻撃者から変更・削除されにくいバックアップを確保し、復元できることを確認することが重要です。


9. セキュリティパッチとは

**セキュリティパッチ(Security Patch)**とは、ソフトウェアの脆弱性を修正するための更新プログラムです。

OSやアプリケーションには、公開後に脆弱性が発見される場合があります。

そのため、修正プログラムを適切に適用する必要があります。

9-1. パッチ管理の流れ

脆弱性情報を確認
      │
      ▼
影響を受ける機器を特定
      │
      ▼
修正プログラムを確認
      │
      ▼
必要に応じて事前検証
      │
      ▼
パッチを適用
      │
      ▼
正常動作を確認

10. ゼロデイ攻撃とは

**ゼロデイ攻撃(Zero-day Attack)**とは、脆弱性の修正が提供される前など、対策が十分に整っていない段階で脆弱性を悪用する攻撃です。

修正プログラムが提供されていない場合には、次のような暫定対策が考えられます。

  • 脆弱な機能の無効化
  • アクセス制限
  • WAFやIPSなどによる緩和策
  • 不審な通信の監視

11. マルウェアの検出方法

マルウェア対策ソフトでは、さまざまな検出方法が利用されます。

今回の重要用語は、次の3つです。

  1. コンペア法
  2. チェックサム法
  3. ビヘイビア法

12. コンペア法

**コンペア法(比較法)**とは、検査対象のファイルなどを、正常な状態として保存しておいた情報と比較し、変更の有無を調べる方法です。

【正常なファイル】
       │
       │ 比較
       ▼
【現在のファイル】
       │
       ▼
変更の有無を確認

特徴

  • ファイルの変更を検出できる
  • 正常な状態の情報を保持しておく必要がある
  • 変更があっても、それだけでマルウェア感染とは断定できない

13. チェックサム法

**チェックサム法(Checksum Method)**とは、ファイルなどから計算した検査用の値を比較し、変更の有無を確認する方法です。

【正常なファイル】
       │
       ▼
  チェックサムA


【現在のファイル】
       │
       ▼
  チェックサムB


AとBを比較
       │
       ├─ 一致   → 変更が検出されない
       │
       └─ 不一致 → 変更の可能性

注意点

単純なチェックサムは、偶然同じ値になる場合があります。

また、攻撃者による意図的な改ざんの検証には、適切な暗号学的ハッシュ関数やデジタル署名などを利用する必要があります。


14. ビヘイビア法

**ビヘイビア法(Behavior-based Detection:振る舞い検知)**とは、プログラムの実行時の動作を監視し、不審な行動を検出する方法です。

例えば、次のような動作が検知対象となります。

  • 大量のファイルを短時間で書き換える
  • 不審なプロセスを起動する
  • 通常とは異なる通信を行う
  • システムの重要な設定を変更する

特徴

既知の特徴情報に一致しない未知のマルウェアでも、異常な動作から検知できる可能性があります。

一方、正常な処理を誤検知する場合があります。


15. その他のマルウェア検出方法

方法 仕組み 特徴
パターンマッチング法 既知のマルウェアの特徴情報と照合 既知の脅威に有効
ヒューリスティック法 プログラムの構造や処理の特徴から判断 未知の脅威にも対応できる可能性
コンペア法 正常なファイルなどと比較 変更の検出
チェックサム法 計算した検査値を比較 変更の検出
ビヘイビア法 実行時の振る舞いを監視 不審な動作を検出
サンドボックス法 隔離環境で実行して分析 実行時の挙動を観測

🍯 はちみつ屋さんで例えると

コンペア法

→ 昨日の在庫表と今日の在庫表を直接比較する。

チェックサム法

→ 在庫表から計算した確認用の数値を比較する。

ビヘイビア法

→ 従業員の行動を観察し、不自然な操作を見つける。


16. パスワードクラックとは

**パスワードクラック(Password Cracking)**とは、パスワードを推測したり、入手したハッシュ値などから元のパスワードを割り出そうとしたりする行為です。

代表的な方法には、次のものがあります。

  • 辞書攻撃
  • ブルートフォース攻撃
  • 類推攻撃

17. 辞書攻撃

**辞書攻撃(Dictionary Attack)**とは、一般的な単語やよく使われるパスワードなどを候補として試す攻撃です。

例えば、単純な単語やよく使われる文字列は推測されやすくなります。

主な対策

  • 十分な長さのパスワードを使用する
  • よく使われるパスワードを避ける
  • 漏えい済みパスワードを禁止する
  • 多要素認証を導入する

18. ブルートフォース攻撃

**ブルートフォース攻撃(Brute-force Attack)**とは、考えられる組み合わせを総当たりで試す攻撃です。

例えば、数字4桁のパスワードには10,000通りの組み合わせがあります。

主な対策

  • 長いパスワードを使用する
  • ログイン試行回数を制限する
  • レート制限を行う
  • 多要素認証を導入する

19. 類推攻撃

**類推攻撃(Guessing Attack)**とは、利用者に関する情報などからパスワードを推測する攻撃です。

例えば、次のような情報が悪用される可能性があります。

  • 名前
  • 誕生日
  • 電話番号
  • ペットの名前
  • 所属組織名

主な対策

  • 個人情報をパスワードに使用しない
  • 推測されにくいパスワードを設定する
  • パスワードマネージャーを活用する
  • 多要素認証を導入する

20. その他のパスワード攻撃

20-1. パスワードリスト攻撃

**パスワードリスト攻撃(Credential Stuffing)**とは、別のサービスから漏えいしたIDとパスワードの組み合わせを使って、他のサービスへのログインを試みる攻撃です。

主な対策

サービスごとに異なるパスワードを使用します。


20-2. パスワードスプレー攻撃

**パスワードスプレー攻撃(Password Spraying)**とは、少数のよく使われるパスワードを、多数のアカウントに対して試す攻撃です。

主な対策

多要素認証や、複数アカウントにまたがる失敗ログの監視が重要です。


20-3. レインボーテーブル攻撃

**レインボーテーブル攻撃(Rainbow Table Attack)**とは、事前計算した情報を利用して、漏えいしたパスワードハッシュから元のパスワードを推測しようとする攻撃です。

主な対策

  • 利用者ごとに異なるランダムなソルトを使用する
  • Argon2id、scrypt、bcrypt、PBKDF2などの適切なパスワードハッシュ方式を利用する

21. パスワード攻撃の比較

攻撃手法 特徴 主な対策
辞書攻撃 よく使われる単語などを試す 推測されにくいパスワード
ブルートフォース攻撃 総当たりで試す 長いパスワード、試行制限
類推攻撃 個人情報などから推測 個人情報を使用しない
パスワードリスト攻撃 漏えいした認証情報を再利用 使い回し防止
パスワードスプレー攻撃 少数のパスワードを多数のIDに試す 多要素認証、監視
レインボーテーブル攻撃 事前計算した情報でハッシュを解析 ソルト、適切なハッシュ方式

22. ポートスキャンとは

**ポートスキャン(Port Scan)**とは、対象のコンピュータやネットワークで、どのポートが利用可能かを調査する行為です。

攻撃者が侵入の準備として利用する場合がありますが、システム管理者による正当な点検にも利用されます。


23. ポートスキャンの種類

23-1. TCPスキャン

TCPスキャンは、TCPを利用してポートの状態を調べる方法です。

ここでは、TCPの接続確立を試みるTCP Connectスキャンを指します。

TCPの3ウェイハンドシェイクを利用し、接続できるかどうかを確認します。


23-2. SYNスキャン

SYNスキャンとは、TCPのSYNパケットを送信し、その応答からポートの状態を推測する方法です。

通常、TCP接続を完全には確立しません。


23-3. FINスキャン

FINスキャンとは、TCPのFINフラグを設定したパケットを送信し、応答からポートの状態を推測する方法です。

ただし、OSやファイアウォールの実装によって応答が異なるため、結果が不明確になる場合があります。


23-4. UDPスキャン

UDPスキャンとは、UDPパケットを送信し、応答やICMPエラーメッセージなどからポートの状態を推測する方法です。

UDPはTCPと異なり、接続確立の手順がありません。

そのため、応答がない場合でも、ポートが開いているのか、通信が遮断されているのか判断しにくいことがあります。


24. ポートスキャンの比較

種類 利用する通信 主な特徴
TCP Connectスキャン TCP 接続確立を試みる
SYNスキャン TCP SYNへの応答から状態を推測
FINスキャン TCP FINへの応答から状態を推測
UDPスキャン UDP UDP応答やICMPエラーなどを確認

主な対策

  • 不要なサービスを停止する
  • 不要なポートを閉じる
  • ファイアウォールで通信を制限する
  • IDS・IPSで不審な通信を監視する
  • ソフトウェアを更新する

25. 攻撃手法の全体像

サイバー攻撃には、さまざまな種類があります。

ここでは、理解しやすいように5つに分類します。

分類 主な攻撃
Webアプリケーション攻撃 SQLインジェクション、XSS、CSRFなど
ネットワーク攻撃 DDoS、中間者攻撃、リプレイ攻撃など
利用者を狙う攻撃 フィッシング、スミッシング、BECなど
端末・ブラウザを狙う攻撃 MITB、ドライブバイダウンロードなど
その他の攻撃 サイドチャネル攻撃、Adversarial Examples攻撃など

26. バッファオーバーフロー

**バッファオーバーフロー(Buffer Overflow)**とは、確保されたメモリ領域の容量を超えるデータを書き込むことによって発生する問題です。

攻撃者がこの脆弱性を悪用すると、プログラムを異常終了させたり、意図しない処理を実行させたりする可能性があります。

主な対策

  • 境界チェック
  • メモリ安全性の高い言語の利用
  • ASLR
  • スタック保護
  • ソフトウェアの更新

27. ディレクトリトラバーサル

**ディレクトリトラバーサル(Directory Traversal)**とは、ファイルパスの処理の不備を悪用して、本来アクセスできないファイルへアクセスしようとする攻撃です。

主な対策

  • 任意のファイルパスを指定させない
  • アクセス可能なファイルを制限する
  • パスの正規化と検証
  • 最小権限の適用

28. SQLインジェクション

**SQLインジェクション(SQL Injection)**とは、入力値の処理の不備を悪用して、意図しないSQLを実行させる攻撃です。

想定される被害

  • データベースの情報漏えい
  • データの改ざん
  • データの削除
  • 認証の回避

主な対策

プレースホルダを利用したパラメータ化クエリを使用します。

SQLを文字列連結で組み立てないことが重要です。


29. OSコマンドインジェクション

**OSコマンドインジェクション(OS Command Injection)**とは、入力値の処理の不備を悪用して、サーバ上で意図しないOSコマンドを実行させる攻撃です。

主な対策

  • OSコマンドの呼び出しを可能な限り避ける
  • 安全なAPIを利用する
  • 引数を適切に分離する
  • 最小権限を適用する

30. クロスサイトスクリプティング

**クロスサイトスクリプティング(XSS:Cross-Site Scripting)**とは、Webアプリケーションの不備を悪用して、利用者のブラウザ上で意図しないスクリプトを実行させる攻撃です。

主な対策

  • 出力先に応じたエスケープ処理
  • 安全なDOM操作
  • CSPの活用
  • CookieのHttpOnly属性

31. CSRF

**CSRF(Cross-Site Request Forgery)**とは、ログイン済みの利用者のブラウザを悪用して、本人の意図しないリクエストを送信させる攻撃です。

主な対策

  • CSRFトークン
  • CookieのSameSite属性
  • Originヘッダなどの検証
  • 重要操作時の再認証

32. Webアプリケーション攻撃の比較

攻撃手法 攻撃対象 主な対策
バッファオーバーフロー メモリ処理 境界チェック、ASLR
ディレクトリトラバーサル ファイルパス処理 パス検証、アクセス制限
SQLインジェクション データベース操作 パラメータ化クエリ
OSコマンドインジェクション OSコマンド実行 安全なAPI、引数分離
XSS ブラウザ上のスクリプト実行 エスケープ処理
CSRF 利用者の認証状態 CSRFトークン

33. フィッシング

**フィッシング(Phishing)**とは、正規の企業やサービスを装ったメールやWebサイトなどを使い、認証情報や個人情報を盗み取ろうとする攻撃です。

主な対策

  • 不審なリンクを開かない
  • 公式アプリやブックマークからアクセスする
  • パスキーなどフィッシング耐性のある認証方式を利用する
  • 多要素認証を導入する

34. スミッシング

**スミッシング(Smishing)**とは、SMSを利用したフィッシング攻撃です。

SMSとPhishingを組み合わせた言葉です。

例えば、宅配業者を装って偽サイトへ誘導するメッセージなどがあります。

主な対策

  • SMSのリンクを安易に開かない
  • 公式アプリから配送状況などを確認する
  • 不審なSMSを報告する

35. DNSキャッシュポイズニング

**DNSキャッシュポイズニング(DNS Cache Poisoning)**とは、DNSサーバのキャッシュに不正な情報を登録させ、利用者を意図しない接続先へ誘導する攻撃です。

主な対策

  • DNSSECの利用
  • DNSソフトウェアの更新
  • DNSサーバの適切な設定
  • 不審なDNS応答への対策

36. SEOポイズニング

**SEOポイズニング(SEO Poisoning)**とは、検索エンジンの検索結果を悪用して、利用者を悪意のあるWebサイトなどへ誘導する攻撃です。

検索結果の上位に表示されたサイトであっても、安全とは限りません。

主な対策

  • 検索結果の表示順位だけで安全性を判断しない
  • 公式サイトのドメインを確認する
  • ブラウザやセキュリティ対策ソフトを更新する

37. DoS・DDoS攻撃

DoS(Denial of Service)攻撃とは、サービスに過剰な負荷を与えるなどして、正常な利用を妨害する攻撃です。

DDoS(Distributed Denial of Service)攻撃とは、複数の端末やシステムから分散して行われるDoS攻撃です。

主な対策

  • DDoS対策サービス
  • CDN
  • レート制限
  • トラフィック監視
  • 冗長化

38. リフレクタ攻撃

**リフレクタ攻撃(Reflection Attack)**とは、第三者のサーバなどに攻撃対象のIPアドレスを送信元として偽装した要求を送り、その応答を攻撃対象へ集中させる攻撃です。

【攻撃者】
    │
    │ 送信元IPを被害者に偽装
    ▼
【第三者のサーバ】
    │
    │ 応答
    ▼
【被害者】

主な対策

  • 送信元IPアドレスの偽装防止
  • 不要な公開サービスの制限
  • DDoS対策
  • トラフィック監視

39. NTP増幅攻撃

**NTP増幅攻撃(NTP Amplification Attack)**とは、NTPサーバの応答を悪用して、攻撃対象へ大量の通信を集中させる攻撃です。

NTPは、コンピュータの時刻同期に利用されるプロトコルです。

攻撃では、要求よりも大きな応答が返る仕組みが悪用される場合があります。

主な対策

  • 不要なNTP機能の無効化
  • NTPサーバの適切な設定
  • 送信元IPアドレスの偽装防止
  • DDoS対策

40. スマーフ攻撃

**スマーフ攻撃(Smurf Attack)**とは、送信元IPアドレスを攻撃対象に偽装したICMP Echo Requestを、ブロードキャストアドレスへ送信することで、大量の応答を攻撃対象へ集中させる攻撃です。

主な対策

  • IPディレクテッドブロードキャストの無効化
  • 送信元IPアドレスの偽装防止
  • 不要なICMP通信の制限

41. ICMP Flood攻撃

ICMP Flood攻撃とは、大量のICMPパケットを送信し、ネットワークやサーバに負荷を与える攻撃です。

主な対策

  • ICMP通信のレート制限
  • DDoS対策
  • トラフィック監視

42. ネットワーク負荷攻撃の比較

攻撃手法 主な仕組み
DoS サービスの利用を妨害
DDoS 複数の送信元からサービスを妨害
SYN Flood TCP接続確立処理を悪用
リフレクタ攻撃 第三者の応答を被害者へ集中
NTP増幅攻撃 NTPの大きな応答を悪用
スマーフ攻撃 ICMPとブロードキャストを悪用
ICMP Flood 大量のICMP通信で負荷を与える

43. 標的型攻撃

**標的型攻撃(Targeted Attack)**とは、特定の組織や個人を狙って行われる攻撃です。

例えば、取引先を装ったメールで不正なファイルを開かせる場合があります。

主な対策

  • メールセキュリティ対策
  • 多要素認証
  • EDR
  • セキュリティ教育
  • 権限の最小化

44. 水飲み場型攻撃

**水飲み場型攻撃(Watering Hole Attack)**とは、攻撃対象が普段利用するWebサイトなどを改ざんし、アクセスした利用者を攻撃する手法です。

例えば、特定の業界の従業員がよく閲覧するWebサイトが攻撃に利用される場合があります。

主な対策

  • ブラウザやOSの更新
  • 不審な通信の監視
  • Webフィルタリング
  • EDRの活用

45. やり取り型攻撃

やり取り型攻撃とは、攻撃者がメールなどで被害者とのやり取りを重ね、信頼関係を築いてから不正な操作を誘導する攻撃手法です。

例えば、最初は通常の問い合わせを装い、何度か返信を重ねた後に、不正なファイルやリンクを送る場合があります。

主な対策

  • メールの送信元確認
  • 不審な添付ファイルの検査
  • 取引先への別経路での確認
  • セキュリティ教育

46. ビジネスメール詐欺

**ビジネスメール詐欺(BEC:Business Email Compromise)**とは、経営者や取引先などを装い、偽の送金指示などによって金銭をだまし取る攻撃です。

例えば、取引先からの請求書を装って、振込先口座を変更するよう依頼する場合があります。

主な対策

  • 振込先変更時の別経路での確認
  • 複数人による承認
  • メールアカウントの多要素認証
  • 不審なメールの報告

47. 中間者攻撃

**中間者攻撃(MITM:Man-in-the-Middle Attack)**とは、通信する2者の間に攻撃者が入り込み、通信を盗聴・改ざんするなどの攻撃です。

【利用者】
    │
    ▼
【攻撃者】
    │
    ▼
【正規サーバ】

主な対策

  • TLSによる通信保護
  • 証明書の適切な検証
  • 不審な証明書警告を無視しない
  • 安全なネットワーク設定

48. SSL・TLSのダウングレード攻撃

**SSL・TLSのダウングレード攻撃(Downgrade Attack)**とは、通信に使用するプロトコルや暗号方式を、より安全性の低いものへ誘導しようとする攻撃です。

古いSSLやTLSのバージョンには、既知の安全性の問題があります。

主な対策

  • 古いSSL・TLSバージョンを無効化する
  • 安全な暗号スイートを使用する
  • TLS設定を適切に管理する
  • HTTPS接続を強制する

49. リプレイ攻撃

**リプレイ攻撃(Replay Attack)**とは、過去に取得した正当な通信データなどを再送信し、不正な処理を行わせようとする攻撃です。

主な対策

  • ノンス
  • ワンタイムトークン
  • タイムスタンプ
  • シーケンス番号
  • リプレイ防止機能

50. MITB攻撃

MITB(Man-in-the-Browser)攻撃とは、利用者のブラウザ環境を不正に操作し、通信内容や画面表示などを改ざんする攻撃です。

例えば、利用者がネットバンキングで送金操作を行う際、ブラウザ内の不正なプログラムによって送金先情報が変更される場合があります。

主な対策

  • OSやブラウザの更新
  • マルウェア対策
  • EDR
  • 重要な取引内容の別経路での確認

51. ドライブバイダウンロード攻撃

**ドライブバイダウンロード攻撃(Drive-by Download Attack)**とは、利用者がWebサイトを閲覧した際などに、意図しないソフトウェアのダウンロードや実行を引き起こす攻撃です。

脆弱なブラウザやプラグインなどが悪用される場合があります。

主な対策

  • OS・ブラウザの更新
  • 不要なプラグインの削除
  • セキュリティ対策ソフト
  • Webフィルタリング

52. クリックジャッキング

**クリックジャッキング(Clickjacking)**とは、利用者が見えている画面とは異なる要素をクリックするよう誘導し、意図しない操作を実行させる攻撃です。

透明なフレームなどを重ねて、クリック先を偽装する場合があります。

主な対策

  • CSPのframe-ancestorsディレクティブ
  • X-Frame-Optionsヘッダ
  • 重要操作時の確認

53. クリプトジャッキング

**クリプトジャッキング(Cryptojacking)**とは、利用者の端末やサーバの計算資源を無断で利用し、暗号資産のマイニングなどを行う行為です。

想定される被害

  • CPU使用率の増加
  • システム性能の低下
  • 電力消費の増加
  • クラウド利用料金の増加

主な対策

  • マルウェア対策
  • 不審なプロセスの監視
  • ソフトウェアの更新
  • クラウド環境の権限管理

54. スパムメール

**スパムメール(Spam Mail)**とは、受信者が望んでいない大量のメールなどを指します。

広告目的のものだけでなく、フィッシングやマルウェア配布に利用される場合もあります。

主な対策

  • スパムフィルタ
  • メール認証技術
  • 不審な添付ファイルの検査
  • 利用者教育

55. Adversarial Examples攻撃

**Adversarial Examples攻撃(敵対的サンプル攻撃)**とは、AIモデルが誤った判断をするように、入力データへ意図的な変更を加える攻撃です。

例えば、画像認識AIに対して、人間には気づきにくい変更を加え、誤認識を引き起こす場合があります。

主な対策

  • 敵対的学習
  • 入力データの検証
  • モデルの堅牢性評価
  • 異常な入力の監視

56. ソーシャルエンジニアリング

**ソーシャルエンジニアリング(Social Engineering)**とは、人間の心理や行動上の隙を利用して、情報を取得したり、不正な操作を行わせたりする手法です。

代表的なものには、次のようなものがあります。

手法 内容
ショルダーハッキング 肩越しに画面や入力内容を盗み見る
トラッシング 廃棄物などから情報を取得する
なりすまし 関係者を装って情報を聞き出す
フィッシング 偽メールや偽サイトなどで情報を盗む
スミッシング SMSを利用して情報を盗む
ビジネスメール詐欺 経営者や取引先などを装って送金を誘導する

🍯 はちみつ屋さんで例えると

攻撃者が配送業者を装って店舗へ電話し、

「配送システムの確認が必要なので、管理者のパスワードを教えてください」

と依頼する場面を考えます。

システムの脆弱性ではなく、人間の判断を悪用している点が特徴です。


57. サイドチャネル攻撃

**サイドチャネル攻撃(Side-channel Attack)**とは、暗号処理などの実行時に発生する副次的な情報を利用して、秘密情報を推測する攻撃です。

例えば、次のような情報が悪用される場合があります。

  • 処理時間
  • 消費電力
  • 電磁波
  • キャッシュの利用状況

主な対策

  • 処理時間が秘密情報に依存しにくい実装
  • 適切な暗号ライブラリの利用
  • ハードウェアの保護
  • サイドチャネル耐性の評価

59. その他の攻撃手法

ここまでの内容に加えて、次の用語も押さえておきましょう。

用語 内容
APT 高度な手法を用いて長期間継続する脅威・攻撃活動
サプライチェーン攻撃 取引先やソフトウェア供給経路などを悪用する攻撃
DNSキャッシュポイズニング DNSのキャッシュ情報を不正に変更する攻撃
SEOポイズニング 検索結果を悪用して悪意のあるサイトへ誘導
ゼロデイ攻撃 修正が提供される前などの脆弱性を悪用

60. 攻撃手法の総合比較

分類 攻撃手法 主な目的・被害
Web攻撃 SQLインジェクション DB情報の窃取・改ざん
Web攻撃 OSコマンドインジェクション 不正なOSコマンド実行
Web攻撃 XSS ブラウザ上で不正なスクリプト実行
Web攻撃 CSRF 利用者権限での不正操作
Web攻撃 クリックジャッキング 意図しないクリック操作
Web攻撃 ディレクトリトラバーサル 不正なファイル参照
ネットワーク攻撃 DDoS サービス妨害
ネットワーク攻撃 リフレクタ攻撃 第三者の応答を悪用した負荷攻撃
ネットワーク攻撃 NTP増幅攻撃 NTP応答を悪用した負荷攻撃
ネットワーク攻撃 スマーフ攻撃 ICMP応答を悪用した負荷攻撃
ネットワーク攻撃 ICMP Flood 大量のICMP通信による負荷攻撃
ネットワーク攻撃 中間者攻撃 通信の盗聴・改ざん
ネットワーク攻撃 リプレイ攻撃 正当な通信データの再利用
利用者攻撃 フィッシング 認証情報の窃取
利用者攻撃 スミッシング SMSを利用した情報窃取
利用者攻撃 ビジネスメール詐欺 不正送金
利用者攻撃 やり取り型攻撃 信頼関係を悪用した不正誘導
利用者攻撃 水飲み場型攻撃 よく利用するサイトを通じた侵害
端末攻撃 MITB ブラウザ内の通信・表示の改ざん
端末攻撃 ドライブバイダウンロード 意図しないダウンロード・実行
端末攻撃 クリプトジャッキング 計算資源の無断利用
その他 サイドチャネル攻撃 副次的な情報から秘密を推測
その他 Adversarial Examples攻撃 AIモデルの誤認識を誘発

61. ペネトレーションテスト

**ペネトレーションテスト(Penetration Test)**とは、許可された範囲で実際の攻撃を模した検証を行い、システムへの侵入可能性や影響を評価することです。

脆弱性診断との違い

項目 脆弱性診断 ペネトレーションテスト
主な目的 脆弱性の発見・評価 攻撃目標への到達可能性や影響の評価
主な内容 設定や既知の弱点を調査 攻撃を模した検証
特徴 幅広く弱点を洗い出す 実際の侵害シナリオを重視

62. デジタルフォレンジックス

**デジタルフォレンジックス(Digital Forensics)**とは、コンピュータやネットワークなどに残されたデジタル情報を収集・保全・分析し、事実関係を明らかにする技術や活動です。

例えば、情報漏えいが発生した場合、次のような調査を行います。

  • どの端末から侵入されたのか
  • いつ不正な操作が行われたのか
  • どのファイルが持ち出されたのか
  • どのような操作履歴が残っているのか

重要なポイント

証拠となるデータを扱う際には、証拠の完全性を維持することが重要です。

そのため、取得したデータのハッシュ値を記録したり、証拠の取り扱い履歴を管理したりします。


63. 耐タンパ性

**耐タンパ性(Tamper Resistance)**とは、機器やソフトウェアなどに対する不正な解析・改ざんを困難にする性質です。

例えば、ICカードや暗号鍵を扱う装置などで重要になります。

主な対策例

  • 不正な開封を検知する仕組み
  • 秘密鍵の保護
  • 物理的な改ざん防止
  • 不正な解析への対策

64. ゾーニング

**ゾーニング(Zoning)**とは、施設やネットワークなどを、セキュリティ上の要件に応じて区分する考え方です。

例えば、施設を次のように分けます。

  • 一般利用者が入れる区域
  • 従業員だけが入れる区域
  • 管理者だけが入れる区域

ネットワークでも、公開サーバ用のDMZと内部ネットワークを分離するなどの構成が考えられます。


65. クリアデスク

**クリアデスク(Clear Desk)**とは、机の上に機密情報や重要な書類などを放置しないようにする管理ルールです。

主な対策

  • 重要書類を施錠できる場所に保管する
  • 離席時に書類を放置しない
  • 不要な書類を適切に廃棄する

66. クリアスクリーン

**クリアスクリーン(Clear Screen)**とは、離席時などに画面をロックし、第三者に情報を見られたり操作されたりしないようにする管理ルールです。

主な対策

  • 離席時に画面をロックする
  • 自動ロックを設定する
  • 画面に機密情報を表示したまま放置しない

67. アンチパスバック

**アンチパスバック(Anti-passback)**とは、入退室管理システムなどで、正しい入退室の順序を守らせる仕組みです。

例えば、入室記録がない利用者が退室操作を行うことや、退室記録がないまま再度入室することを制限します。

目的

  • 入退室記録の整合性を保つ
  • 認証情報の不正な使い回しを抑止する

68. インターロックゲート

**インターロックゲート(Interlock Gate)**とは、複数の扉を連動させ、一方の扉が開いている間はもう一方の扉が開かないようにする仕組みです。

例えば、サーバ室の入口に設置される場合があります。

【一般エリア】
      │
      ▼
   【扉A】
      │
      ▼
 【中間スペース】
      │
      ▼
   【扉B】
      │
      ▼
 【重要エリア】

特徴

  • 入退室を段階的に制御できる
  • 不正な侵入を抑止できる
  • 他の認証・監視設備と組み合わせて利用する

69. TPM

**TPM(Trusted Platform Module)**とは、暗号鍵などの機密情報を保護するためのセキュリティ機能を提供するハードウェアベースの仕組みです。

主な用途には、次のものがあります。

  • 暗号鍵の保護
  • プラットフォームの状態測定
  • デバイスの認証支援
  • ディスク暗号化機能との連携

注意点

今回の指定にあった「TPMOR」のうち、TPMは上記の意味で説明できます。

一方、ORが別の用語を指している可能性があるため、正式名称の確認が必要です。


70. シャドーIT

**シャドーIT(Shadow IT)**とは、組織の情報システム部門などが把握・承認していないITサービスや機器が、業務で利用されている状態です。

例えば、従業員が会社の許可を得ずに、個人契約のクラウドストレージへ業務データを保存する場合があります。

主なリスク

  • 情報漏えい
  • 不適切なアクセス権限
  • データ管理の不備
  • セキュリティ監視の対象外になる

主な対策

  • 利用可能なサービスの明確化
  • 従業員への教育
  • 安全で使いやすい代替手段の提供
  • 利用状況の把握

71. 不正のトライアングル

**不正のトライアングル(Fraud Triangle)**とは、不正行為が発生する要因を、次の3つの観点から説明する考え方です。

  1. 動機・プレッシャー
  2. 機会
  3. 正当化

71-1. 動機・プレッシャー

不正行為を行おうとする理由や圧力です。

例えば、金銭的な問題や業績上のプレッシャーなどがあります。


71-2. 機会

不正を実行できる環境や状況です。

例えば、管理者権限が過剰に付与されている場合や、操作ログが記録されていない場合などがあります。


71-3. 正当化

不正行為を自分の中で正当化する考え方です。

例えば、

「少し借りるだけだから問題ない」

と考える場合があります。


71-4. 不正のトライアングルの対策

要因 主な対策
動機・プレッシャー 相談窓口の整備、適切な労務管理
機会 職務分掌、アクセス制御、ログ監視
正当化 倫理教育、組織文化の改善

72. その他の重要なセキュリティ用語

用語 意味
CVE 公開された脆弱性の共通識別子
CVSS 脆弱性の深刻度を評価する仕組み
セキュリティインシデント セキュリティに悪影響を及ぼす、またはそのおそれがある事象
CSIRT セキュリティインシデント対応チーム
SOC セキュリティ監視・分析を行う組織や拠点
ゼロトラスト ネットワークの位置だけで信頼を判断しない考え方
サプライチェーン攻撃 取引先やソフトウェア供給経路などを悪用する攻撃
APT 高度な手法を用いて継続的に行われる脅威・攻撃活動

73. 応用情報技術者試験の重要ポイント

今回の内容は非常に多いため、特に混同しやすい用語を整理しましょう。

比較 覚えるポイント
ウイルスとワーム 寄生するか、自己増殖して拡散するか
ワームとトロイの木馬 自己増殖するか、正常なソフトを装うか
コンペア法とチェックサム法 ファイルなどを直接比較するか、検査値を比較するか
コンペア法とビヘイビア法 状態の比較か、実行時の動作の監視か
辞書攻撃とブルートフォース攻撃 候補を絞るか、総当たりするか
ブルートフォース攻撃と類推攻撃 総当たりか、個人情報などからの推測か
TCP ConnectスキャンとSYNスキャン 接続確立を試みるか、SYN応答を確認するか
SQLインジェクションとOSコマンドインジェクション SQLを不正実行させるか、OSコマンドを不正実行させるか
XSSとCSRF 不正スクリプト実行か、意図しないリクエスト送信か
フィッシングとスミッシング 一般的なフィッシングか、SMSを利用するか
中間者攻撃とMITB 通信経路への介入か、ブラウザ環境の悪用か
DoSとDDoS サービス妨害か、分散した複数の送信元からの妨害か
リフレクタ攻撃とNTP増幅攻撃 第三者の応答を利用する攻撃と、そのNTPを使う一例
クリアデスクとクリアスクリーン 机上の情報管理か、画面の情報管理か
脆弱性診断とペネトレーションテスト 弱点の発見か、侵入可能性や影響の検証か

74. 練習問題

問題1:マルウェア

他のファイルへの寄生を必要とせず、自己増殖して拡散するマルウェアはどれでしょうか。

A. コンピュータウイルス
B. ワーム
C. トロイの木馬
D. ルートキット

解答

正解:B

ワームは、自己増殖して拡散するマルウェアです。


問題2:マルウェア検出方法

プログラムの実行時の動作を監視して、不審な活動を検知する方式はどれでしょうか。

A. コンペア法
B. チェックサム法
C. ビヘイビア法
D. 辞書攻撃

解答

正解:C

ビヘイビア法は、プログラムの振る舞いを監視する方式です。


問題3:パスワードクラック

利用者の誕生日や名前などから、パスワードを推測する攻撃はどれでしょうか。

A. ブルートフォース攻撃
B. 類推攻撃
C. レインボーテーブル攻撃
D. ポートスキャン

解答

正解:B

類推攻撃は、利用者に関する情報などからパスワードを推測する攻撃です。


問題4:ポートスキャン

TCPのSYNパケットを送信し、応答からポートの状態を推測する方法はどれでしょうか。

A. UDPスキャン
B. FINスキャン
C. SYNスキャン
D. チェックサム法

解答

正解:C

SYNスキャンは、SYNへの応答を利用してポートの状態を推測します。


問題5:Webアプリケーション攻撃

SQLインジェクションへの対策として、最も適切なものはどれでしょうか。

A. SQLを文字列連結で組み立てる
B. パラメータ化クエリを利用する
C. データベースの権限を無制限にする
D. 入力値の検証を省略する

解答

正解:B

パラメータ化クエリは、SQLインジェクション対策の基本です。


問題6:DDoS攻撃

第三者のサーバの応答を攻撃対象へ集中させる攻撃はどれでしょうか。

A. リフレクタ攻撃
B. SQLインジェクション
C. 類推攻撃
D. クリックジャッキング

解答

正解:A

リフレクタ攻撃は、第三者のサーバなどからの応答を攻撃対象へ集中させます。


問題7:フィッシング

SMSを利用したフィッシング攻撃はどれでしょうか。

A. スミッシング
B. スマーフ攻撃
C. SYN Flood
D. サイドチャネル攻撃

解答

正解:A

スミッシングは、SMSを利用したフィッシング攻撃です。


問題8:MITB攻撃

MITB攻撃の説明として、最も適切なものはどれでしょうか。

A. ブラウザ環境を不正に操作する
B. 大量のICMP通信を送信する
C. DNSキャッシュを書き換える
D. パスワードを総当たりする

解答

正解:A

MITB攻撃は、利用者のブラウザ環境を悪用する攻撃です。


問題9:デジタルフォレンジックス

デジタルフォレンジックスの主な目的はどれでしょうか。

A. データを圧縮する
B. デジタル証拠を収集・保全・分析する
C. IPアドレスを自動割り当てする
D. Webサイトの表示速度を向上させる

解答

正解:B

デジタルフォレンジックスでは、証拠の完全性を保ちながら調査を行います。


問題10:物理セキュリティ

離席時に画面をロックする管理ルールはどれでしょうか。

A. クリアデスク
B. クリアスクリーン
C. アンチパスバック
D. ゾーニング

解答

正解:B

クリアスクリーンは、画面に表示された情報を第三者から保護するための管理ルールです。


問題11:不正のトライアングル

不正のトライアングルを構成する要因として、正しい組み合わせはどれでしょうか。

A. 機密性・完全性・可用性
B. 動機・機会・正当化
C. 認証・認可・監査
D. 暗号化・復号・署名

解答

正解:B

不正のトライアングルは、動機・プレッシャー、機会、正当化の3要因で説明されます。


問題12:AIへの攻撃

AIモデルが誤った判断をするよう、入力データに意図的な変更を加える攻撃はどれでしょうか。

A. Adversarial Examples攻撃
B. SYNスキャン
C. レインボーテーブル攻撃
D. スマーフ攻撃

解答

正解:A

Adversarial Examples攻撃は、AIモデルの誤認識を引き起こすことを狙います。


まとめ

今回は、情報セキュリティの脅威と攻撃手法について学びました。

重要なポイントを振り返りましょう。

  1. 情報セキュリティの基本は、機密性・完全性・可用性
  2. 脅威・脆弱性・リスクは、それぞれ異なる概念
  3. マルウェアには、ウイルス・ワーム・トロイの木馬・ランサムウェアなどがある
  4. マルウェアの検出方法には、コンペア法・チェックサム法・ビヘイビア法などがある
  5. パスワードクラックには、辞書攻撃・総当たり攻撃・類推攻撃などがある
  6. ポートスキャンには、TCP Connect・SYN・FIN・UDPなどの方式がある
  7. Web攻撃には、SQLインジェクション・XSS・CSRFなどがある
  8. ネットワーク攻撃には、DDoS・リフレクタ攻撃・中間者攻撃などがある
  9. 利用者を狙う攻撃には、フィッシング・スミッシング・ビジネスメール詐欺などがある
  10. 物理セキュリティには、ゾーニング・クリアデスク・アンチパスバックなどがある
  11. デジタルフォレンジックスでは、デジタル証拠の収集・保全・分析を行う
  12. 不正のトライアングルは、動機・機会・正当化の3要因で説明される

🍯 はちみつメモ

情報セキュリティは、はちみつ屋さんをさまざまな危険から守ること!

コンピュータウイルス

→ 商品に紛れ込んで、ほかの商品にも悪影響を広げるもの。

ワーム

→ 自分で増えながら、次々と店舗へ広がるもの。

トロイの木馬

→ 安全な商品を装って、店舗内に入り込むもの。

ランサムウェア

→ 倉庫に鍵をかけて、お金を要求する攻撃。

コンペア法

→ 昨日と今日の在庫表を比較する。

チェックサム法

→ 在庫表から計算した確認用の数値を比較する。

ビヘイビア法

→ 従業員の行動を観察し、不審な動きを見つける。

辞書攻撃

→ よく使われる鍵の候補を順番に試す。

ブルートフォース攻撃

→ 考えられる鍵をすべて試す。

類推攻撃

→ 店長の誕生日や名前から鍵を推測する。

ポートスキャン

→ 店舗のどの入口が開いているか調べる。

SQLインジェクション

→ 注文フォームの不備を悪用して、管理台帳を不正に操作する。

XSS

→ 店舗の掲示板に細工をして、見たお客様に不正な動作を起こさせる。

DDoS攻撃

→ 大勢で店舗の入口をふさぎ、通常のお客様が入れないようにする。

ビジネスメール詐欺

→ 取引先を装い、偽の振込先へ送金させる。

デジタルフォレンジックス

→ 事件が起きた後、監視記録や証拠を調査する。

不正のトライアングル

→ 不正が起こる背景には、動機・機会・正当化がある。

応用情報技術者試験では、**攻撃手法の名前だけでなく、「何を狙うのか」「どのように攻撃するのか」「どう対策するのか」**をセットで覚えよう!